top of page
九工大写真(木3).jpg

Kyutech物性グループセミナー(アーカイブ)

第20回: 2015年11月30日(月) 16:20-17:50+α

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】 福間康裕 (若手研究者フロンティア研究アカデミー・准教授)  

【タイトル】 スピン流の生成および検出

【概要】

スピントロニクス技術の進展と共に、巨大磁気抵抗効果やトンネル磁気抵抗効果で利用されているスピン編極電流から角運動量の流れであるスピン流を利用して新しい素子機能性の創出が期待されています。本セミナーでは、非局所スピン注入、スピンポンピング、スピンホール効果を用いたスピン流の生成や検出手法を紹介すると共に、その応用の可能性について議論します。

第19回: 2015年10月14日(水) 16:20-17:50

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】宮崎康次 (機械知能工学研究系・教授) 

【タイトル】ナノ構造における熱伝導

【概要】 

1980年頃から,集積回路の小型化が進み、その高性能化と冷却技術の確立が直結するようになった.本来,熱伝導方程式で予測できるはずの温度が実験で測定されず,集積回路の熱問題が深刻化したため,90年代以降,熱伝導現象が深く考察されるようになった.古くから格子振動(フォノン)が熱エネルギーを輸送することはよく知られているが,実験結果から,近年,フォノンの平均自由行程が非常に長いことが指摘されるようになっている.実用的にはみかけの熱伝導率が使われるようになってきたが,関連する研究室の取り組みと研究動向について紹介する.

第18回: 2015年9月4日(金) 14:40-16:10

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第二会議室

【講演者】出口博之 (基礎科学研究系・教授) 

【タイトル】二次元量子反強磁性体La_2_CuO_4_のナノ粒子における特異な磁気サイズ効果

【概要】

最近,二次元量子スピンハイゼンベルグ型反強磁性体において,有限な二次元面の端(エッジ)付近のスピンの磁性が理論的に研究され,エッジの磁性は磁気相互作用の端での結合状態および二次元面のサイズに大きく依存し,条件によっては絶対零度において磁化率が負に発散するという特異なサイズ効果がシミュレーションで予想された.銅酸化物超伝導体の母物質として知られているLa_2_CuO_4_は二次元量子スピンハイゼンベルグ型反強磁性体の典型物質でもある.そこで,この磁性体を研究対象としてメソポーラスシリカSBA-15の細孔中でLa_2_CuO_4_ナノ粒子を合成した.その磁性のエッジ効果を調べるためにSQUID磁束計による磁化過程および直流磁化率測定と電子スピン共鳴(ESR)測定を行い,ナノ粒子の磁性を解析した.バルクにおいてはCu^2+^はS = 1/2,g ≈2の磁気モーメントを有するが,ナノ粒子では,新たにS = 1/2,g ≈5の磁気モーメントが両測定より確認された.このナノ粒子の示した異常に大きなg値はエッジ効果に起因するのではないかと推測される.

第17回: 2015年7月8日(水) 16:30-18:00

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第二会議室

【講演者】堀部陽一 (物質工学研究系・准教授) 

【タイトル】強相関スピネル化合物AlV2O4における電荷秩序構造 -電子回折法およびX線回折法を併用した低対称構造の精密構造解析-

【概要】

強相関遷移金属酸化物の一種であるバナジウムスピネル化合物AlV2O4は、約700Kにおいて、磁化率の変化を伴う金属―半導体相転移を示す。この相転移の起源については、X線回折法を用いた精密構造解析の結果から、V+2-dイオンがスピネル構造中のカゴメ格子層を、V+2-3dイオンが六角格子層を占めるV+2-d : V+2-3d =3:1型の電荷秩序モデルが提案されてきた。しかしながらこの構造モデルは、他の研究により見出された二倍周期の超構造の存在と矛盾しており、その詳細については不明な点が多かった。本セミナーでは、電子回折法とシンクロトロン放射光回折法を併用したAlV2O4における電荷秩序構造の精密構造解析について概説することにより、透過型電子顕微鏡を用いた物性研究について紹介する。その後、電子回折法―X線回折法による精密構造解析の他の具体例等についても取り上げたい。

第16回: 2015年5月29日(金) 14:40-16:10

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】飯久保智 (生命体工学研究科生体機能応用工学専攻・准教授) 

【タイトル】マグネシウム合金の熱力学的性質: 第一原理計算を援用した熱力学計算について

【概要】

希土類元素(RE)と遷移金属元素(TM)を含有するMg合金において観測される長周期積層(LPSO)構造では,hcp-Mgの周期的積層欠陥にREと TMが偏析して規則化する,構造と組成に関する変調が同時に起こることが特徴である.このhcp-Mgにおける熱力学的性質を正しく理解することは,LPSOという新規な材料組織の形成要因を明らかにする上で重要である.これまでにMg合金のhcp固溶体の熱力学的性質を CALPHAD法,第一原理計算,クラスター展開法(CEM)およびクラスター変分法(CVM)を用いて調べてきた。その結果,凝固時にLPSO構造が形 成されるMg-Y-Zn系(typeⅠ)では広い組成・温度範囲にわたってhcpの2相分離が存在し,この挙動にともなうスピノーダル分解がLPSO構造 の形成メカニズムに関係していることなどがわかってきた.これらの手法の説明と、結果について概説したい。

第15回: 2015年4月17日(金) 14:40-16:40

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】松本要 (物質工学研究系・教授) 

【タイトル】量子化磁束のピン止め技術と高温超伝導への応用

【概要】

銅酸化物高温超伝導体の発見以来28年が経過しその応用技術は大きく進んだ。本セミナーでは特に超伝導線材化技術と量子化磁束のピン止め技術に焦点をあて、銅酸化物高温超伝導体開発の最近の動向について紹介する。最初に、銅酸化物高温超伝導体の線材化における材料科学的進展と量子磁束のピン止めの原理について述べる。その後、現在の研究開発状況と他の材料系の現状についても触れる。最後に、磁束ピン止めに関わる最新技術と将来展望について考えたい。

第14回: 2015年2月2日(月) 16:30-18:30

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】美藤正樹 (基礎科学研究系・教授) 

【タイトル】ジアロシンスキー・守屋相互作用ベクトルを有する結晶の巨大非線形磁気応答

【概要】

交流磁化率測定は、マクロススコピックな測定方法であり、決して特殊な測定ではない。しかし、交流磁場に対する磁気応答に多彩な情報が含まれていることを知らない研究者も多い。今回、ジアロシンスキー・守屋相互作用ベクトルを有する結晶群が、交流磁場に対して巨大な非線形磁気応答を発現することを紹介する。その物理現象は、上記結晶群での磁気ドメインが強いイジング異方性を有し、それらが双極子相互作用を介し、グラス的に振る舞っているとして解釈できる。この研究の紹介を通じ、交流磁化率が内包する物理情報を解説する。

第13回: 2014年12月10日(水) 16:30-18:30

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第二会議室

【講演者】小田勝 (基礎科学研究系・准教授) 

【タイトル】半導体ナノ結晶における励起電子緩和過程

【概要】 

数ナノメートルスケールの半導体結晶(ナノ結晶)では,電子系に対する量子閉じ込め効果により,この寸法領域に固有の電子状態が形成される。今回の講演では,この電子状態の特徴と起源について解説するとともに,特にこのような電子状態間で生じる遷移過程について,最近の研究の話題も交えて紹介する。

第1回九工大物性ワークショップ: 2014年11月21日(金)-22日(土)

強くスピン軌道相互作用した強相関電子系における新奇量子相と量子現象

Novel quantum phases and phenomena in correlated electron systems with strong spin-orbit coupling

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス・コラボ教育支援棟3階セミナー室

【講演内容】

2014年11月21日(金) 15:00-18:30

「パイロクロアIr 酸化物におけるキャリアドープ効果」 松平和之(九工大工・准教授)

「パイロクロア酸化物Cd2Os2O7 における磁気ドメイン界面伝導」 廣瀬峻啓(東大物性研・DC1)

「パイロクロア伝導系のトポロジカル欠陥」 宇田川将文(東大工・助教)

「スピン軌道相互作⽤に起因した特異な磁性と伝導現象」 求幸年(東大工・准教授) 

「ブリージングパイロクロア格⼦反強磁性体の低温磁性」 岡本佳比古(名大工・准教授)

「遷移金属酸化物の素励起とそれの電子構造への影響: 第一原理GW計算によるプラズマロン状態の微視的解析」 中村和磨(九工大工・准教授) 

2014年11月22日(土) 9:00-11:45

「VO2 の⾦属絶縁体転移を斜めから眺めると」 廣井善二(東大物性研・教授) 

「3d, 5d 遷移⾦属酸化物における磁気秩序と構造物性研究」 山浦淳一(東工大元素セ・特任准教授)

「放射光X 線を⽤いた精密構造解析と電⼦密度解析」 真木祥千子(東工大元素セ・プロジェクト研究員)

「酸素分⼦の分⼦間相互作⽤と磁場誘起構造相転移」 小林達生(岡山大理・教授) 

「強相関電⼦系の新しい量⼦臨界現象」  渡辺真仁(九工大工・准教授) 

第12回: 2014年10月22日(水) 17:30-19:30

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】松平和之 (電気電子工学研究系・准教授) 

【タイトル】スピンアイスにおけるスピンダイナミクス (Spin Dynamics in Spin Ice)
【概要】 

1997年にスピンアイスという巨視的に縮退した基底状態を持った磁性体が発見された。スピンアイスという名前は,氷のプロトンの配置の自由度の問題と等価であることから名付けられている。以降,その特異な性質,磁場誘起の新奇な巨視的縮退(カゴメアイス),磁場誘起の液相-気相相転移,磁気モノポール,量子スピンアイスなどが見いだされ,現在も盛んに研究が進められている。講演では,磁化測定によるスピンアイスのスピンダイナミクスの研究について紹介する。

第11回: 2014年8月6日(水) 17:00-19:00

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス工学部第一会議室

【講演者】中村和磨 (基礎科学研究系・准教授)

【タイトル】第一原理からの物質の低エネルギー有効模型構築
【概要】 

物質の低エネルギー有効模型の第一原理導出を目的として、これまで開発してきた「制限多体摂動論」について紹介する。これまで現象論的・経験的になされてきた有効模型導出を完全に第一原理計算に基づかせ、有効模型のパラメータを、単なるパラメータとしてではなく、現実物質を特徴づける微視的因子として捉えることで物質の個性を分析する。アルカリ金属充填ゼオライト系への応用を通して、本手法の定量的信頼性を示す。

bottom of page