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Kyutech物性グループセミナー(アーカイブ)

第40回: 2019年4月17日(水) 16:30-18:00 [2019年1月10日(木) 16:20-17:50 (延期)]

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟1F TV会議室 &

    飯塚キャンパス研究管理棟2F TV会議室 (TV中継)

【講演者】徳永辰也 (物質工学研究系・准教授)

【タイトル】CALPHAD法の基礎と応用

【概要】 

CALPHAD (CALculation of PHAse Diagrams) 法は,相境界や熱力学物性値などの実験データの熱力学的解析に基づいて計算により状態図を作成する手法であり,これまでに鉄鋼材料をはじめとする各種材料の設計・開発において広く用いられている.さらに,最近では第一原計算とのカップリングにより,安定領域のみならず準安定領域の相平衡についての計算結果の信頼性も向上している.本セミナーでは,はじめにCALPHAD法の基礎について概説した後で,CALPHAD法で得られた計算結果の応用例について紹介する.

第39回: 2018年9月4日(火) 14:40-15:40

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス8-1A講義室

【タイトル】Biaxial molecular-colloidal nematic liquid crystals

【講演者】Ivan I. Smalyukh (Department of Physics, Department of Electrical, Computer, and Energy Engineering, Materials Science and Engineering Program and Soft Materials Research Center, University of Colorado, Boulder, CO 80309, USA)

【講演者紹介】

液晶の専門家で,最近ホップフィオンを実験的に検証してNature 誌に投稿しておられる気鋭の研究者です。最近では,ソリトン(1次元欠陥),スキルミオン(2次元欠陥),ホップフ ィオン (3次元欠陥) がトポロジー的に保護され安定化されていることで,研究が活発化しています。ソリトンは扱いやすく,スキルミオンは扱いにくく,ホップフィオンは扱いやすいのではないかと思われています。液晶ソリトンは,フレデリクス転移として知られ,現在のディスプレイ実用化の成功因となっています。スキルミオンはB-Phaseとして知られ,すでにサムソンが10倍速い液晶として研究を始めている模様です。ホップフィオンに関しては,理論は論文がありますが,実験的に見たのは彼しかいません。液晶としても面白いですが,スピンに応用出来たらもっと面白くなるはずです。

【概要】 

Coexistence of order and fluidity enables functioning of biological membranes and liquid crystal displays alike, but only a few of many possible distinct realizations of such ordered fluid states have been demonstrated so far. I will discuss how we disperse micrometer-long inorganic colloidal rods in a nematic fluid host of nanometer-long rod-like organic molecules [1].These building blocks, while freely diffusing around, interact to spontaneously form an orthorhombic biaxial nematic fluid, in which like-sized rods are roughly parallel and the molecular ordering direction is orthogonal to that of colloidal rods. Using nonlinear optical microscopy and Raman spectroscopy, we study the low-symmetry orientational distributions of both molecular and colloidal rods. We construct a detailed temperature-concentration phase diagram that contains two uniaxial and one biaxial nematic phases, as well as two-phase coexistence regions [1]. Displaying properties of

biaxial optical crystals, our hybrid molecular-colloidal fluids can be switched by electric and magnetic fields and promise a host of technological uses ranging from new breeds of displays to metamaterials. I will discuss how similar ideas can be dextended to colloidal inclusions with other shapes and how they enable realization non-othorhombic biaxial nematics and polar ordered fluids with low symmetry and high degrees of orientational order.

第38回: 2018年3月30日(金) 14:40-17:50

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス・コラボ教育支援棟3階セミナー室

    飯塚キャンパス飯塚AV講演室 (TV会議システムを使って中継を行います)

【タイトル】超伝導と熱伝導

【研究会趣旨】 

いま物質科学では超伝導と熱伝導に関する研究がホットです。これらの現象制御と最適化に環境材料研究の新しい方向性を見ているからです。現在、理学から工学ひいては企業までの多くの研究者を巻き込んで新しい超伝導体・熱伝導体の探索、またこれらを用いた新デバイス開発の世界的競争が行われています。このたび,これらのトピックに関して大きな成果を挙げている気鋭の若手物質科学研究者を招いて講演を行って頂きます。これらの問題の最前線とは何か、われわれは何を目指すべきか、今後の展望について講演して頂きます。

 

14:40-15:25

【タイトル】拡張多極子による多様な交差相関現象

【講演者】楠瀬博明 (明治大学理工学部 / 教授)

【概要】

電子の電荷・スピン・軌道が絡み合った自由度は、微視的な多極子として統一的に記述できる。電気磁気効果に代表される多様な交差相関現象は、複数の原子サイトや複数の軌道にまたがった「拡張された」多極子と密接な関係があることが明らかになってきた。講演では、拡張多極子による交差相関現象をいくつかの例を交えて紹介する。

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15:25-16:10

【タイトル】強相関系の数値的研究: フラーレン超伝導体の研究・機械学習の技術を使った多体系ソルバー

【講演者】野村悠祐 (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 / 助教)

【概要】

講演ではフラーレン超伝導体と機械学習ソルバーの開発の2点を取り上げる。前半では、モット絶縁体相を示すフラーレン超伝導体が、なぜs波の超伝導を示すのか(普通はs波超伝導は強相関領域では発現しない)ということを第一原理的に研究した成果を報告する。後半では、機械学習で用いられてきた柔軟な関数形とこれまでの物性物理で使われていた変分波動関数を組み合わせることによって、飛躍的に量子多体系を解析する精度が向上できることを報告する。

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休憩 16:10-16:20

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16:20-17:05

【タイトル】有機-無機ハイブリッド材料の低熱伝導率

【講演者】宮崎康次 (九州工業大学 工学研究院 / 教授)

【概要】

印刷できるフレキシブルな熱電変換モジュール作製のため,無機材料に有機材料を混ぜたハイブリッド材料をインクとして熱電薄膜を生成したところ,従来の経験式では説明できない極めて低い熱伝導率が測定された。この低い熱伝導率の原因として有機-無機材料間に存在する界面熱抵抗に着目し,有機-無機材料からなる積層薄膜を生成して,界面熱抵抗を測定することで現象を考察した.

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17:05-17:50

【タイトル】フォノンと格子熱伝導率の第一原理計算

【講演者】只野央将(国立研究開発法人物質・材料研究機構 / ICYS研究員)

【概要】

高性能の熱電材料や排熱・断熱材料の開発には、熱の主な担い手であるフォノンのダイナミクスと散乱過程を微視的に理解し、それを制御する事が欠かせない。近年、固体の格子熱伝導率や非調和効果を含んだフォノン分散の第一原理計算手法が開発され、その有効性がさまざまな系で実証されつつある。本講演では、近年の第一原理フォノン計算の発展を概観し、熱電材料への応用例を報告する。

第37回: 2018年2月28日(水) 17:00-18:00

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟3F 3F1会議室 &

    飯塚キャンパス研究管理棟3F第2会議室 (TV会議システムを使って行います)

【タイトル】ユビキタス酸化物による新規機能性誘電体の設計と開発

【講演者】谷口博基 (名古屋大学・准教授) l

【概要】 

電場の印可によって電気伝導率を制御するトランジスタの開発がエレクトロニクスの飛躍的な発展を導いたことからも明らかなように、入力と出力をつなぐ応答(輸送)特性の研究は先端技術開発において特に重要である。その中で、物質に加える電場とそれによって生じる分極をつなぐ誘電応答は、キャパシタやフィルタ、センサとして広く応用されており、今日の電子デバイスを土台から支える応答特性である。我々のグループでは結晶構造デザインと欠陥制御の両側面から、地球上に豊富に存在する酸化物(ユビキタス酸化物)による新しい誘電応答機能性材料の開発に取り組んでいる。本講演では、光による誘電応答特性の制御を可能にする光応答性誘電体の開発と弾性的不安定性によって誘起される間接型強誘電性相転移の創出の2点に焦点を絞り、これらに関する最新の成果を紹介したい。特に、後者においては間接型強誘電体特有のユニークな相転移物性を活かして、PZTを超える焦電発電性能が見積もられている。講演では、この成果と関連してマルチフェロイック物質に代表される間接型強誘電体の微小エネルギーによる環境発電への応用可能性を議論する予定である。

第36回: 2018年2月24日(土) 10:00-11:00
【場所】九州工業大学戸畑キャンパス教育研究7号棟1Fセミナー室
【講演者】Conrado Rillo (ザラゴザ大学・教授)
【タイトル】Is liquid helium an absolutely “pure liquid”?  -The purity of liquid helium revisited-
【概要】

液体ヘリウムの純化は、例えば超冷中性子生成の効率などといった重要性から、1970年代にはすでに多大な興味の対象であった。 この10年で、液体ヘリウム中の不純物にも起因する ヘリウム蒸発クライオスタットや希釈冷凍機(T < 4.2 K) でのフローインピーダンスブロック、 といった世界規模の問題はさらに頻発するようになってきた。その問題はヘリウムの途方もないロスや低温研究における遅れを世界中で引き起こしている。我々はそれらを解決する、 ヘリウムの”Advanced Technology” for Purification (ATP) and Liquefaction (ATL)に立脚した 小規模な機構を提案した。 本講演では、液体ヘリウムの純度とヘリウムの応用に関する簡単な導入の後、 ATPおよびATLの基礎的な技術を詳しく説明し[1]、最後にフローインピーダンスブロックを完全に解決した、 “Clean Helium Recovery Plant” [2] について紹介する。

 

The purity of liquid helium was already a subject of much interest in the 1970’s due to its importance, for example, in the efficiency of the production of ultracold neutrons. In the last decades a recurrent worldwide issue, the flow impedance blocking in helium evaporation cryostats and dilution refrigerators (T < 4.2 K), also ascribed to the presence of impurities in liquid helium, has become more and more frequent. The problem is causing tremendous helium losses and delays in research at low temperatures, all over the world. We have proposed a plausible mechanism to explain the issue and have implemented a proven solution, based on the “Advanced Technology” for Purification (ATP) and Liquefaction (ATL) of helium at the small scale. In this talk, after a brief introduction of the subject of liquid helium purity, and, of the applications of helium, the fundamentals of the ATP and ATL technologies are given in detail [1]. Finally, the concept of “Clean Helium Recovery Plant” [2], that completely solves the flow impedance blocking issue, is presented.


[1] Enhancement of the Liquefaction Rate in Small-Scale Helium Liquefiers Working Near and Above the Critical Point, C. Rillo et al. Phys. Rev. Applied 3, 051001 – Letter – Published 8 May 2015.
[2] Hydrogen-Free Liquid-Helium Recovery Plants: The Solution for Low-Temperature Flow Impedance Blocking, M. Gabal et al. Phys. Rev. Applied 6, 024017 – Research Article – Published 26 August 2016.

第35回: 2017年12月21日(木) 16:30-18:00

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟1F TV会議室 &

    飯塚キャンパス (飯塚)TV会議室 (TV会議システムを使って行います)

【タイトル】キラル磁性体におけるトポロジカルスピン秩序に関する研究

【講演者】美藤正樹 (基礎科学研究系・教授) 

【概要】 

トポロジカルなオブジェクトとして、壁(wall)、ねじれ(kink)そして渦(vortex)が挙げられる。それがスピン系で見せる振舞いはスピンデバイスへの期待を抱かせる。最近、キラルな磁気構造に外部磁場を印加した環境下で、上記のトポロジカルなオブジェクトが格子を形成することが発見された。カイラルソリトン格子(CSL)やスキルミオン格子がその具体的な例である。カイラルソリトン格子(CSL)の場合、周期的に並んだkink(ソリトン方程式に従うため、業界ではソリトンと読んでいる)が磁場変化に対して出入りする。この分野は理論主導で研究が進展していた分野であるが、最近では、ソリトンの出入りが、結晶サイズや結晶外形そして結晶の微細加工構造に依存し、まさにトポロジカルなスピン秩序であることを実験的に裏付ける結果が続々と得られている。セミナーでは、数ミリメートルレベルから数マイクロメートルサイズに渡る多彩な結晶に対する最新の磁気測定の結果をお見せし、トポロジカルなスピン秩序ならではの振舞いを紹介する。

第34回: 2017年11月20日(月) 16:20-17:50

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟1F TV会議室 &

    飯塚キャンパス (飯塚)TV会議室 (TV会議システムを使って行います)

【タイトル】特殊反応場を利用した機能性材料開発の実際

      (Practical Examples for Development of Functional Materials using Unique Reaction Fields)

【講演者】田中将嗣 (基礎科学研究系・助教) 

【概要】 

機能性材料の開発においては、新規化合物の合成・加工・評価というサイクルが必要となる。加工には測定用試料の微細加工や評価に必要なガラスの加工、合成に必要な反応容器の機械加工などを含む。それゆえこれらのサイクルは相互に強く関連し、また、できる限り迅速に回すことが鍵となる。本講演では高圧力・高温環境のような特殊な反応場を利用する合成法により得られた物質や、その物性に関する知見について、現場での実際の様子を交えた講演者の最近の取り組みを紹介する。

第33回: 2017年9月12日(火) 14:40-16:10

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟1F TV会議室 &

    飯塚キャンパス (飯塚)TV会議室 (TV会議システムを使って行います)

【タイトル】ディラック半金属と熱電変換材料

【講演者】岡本佳比古氏 (名古屋大学大学院工学研究科応用物理学専攻・准教授)

【概要】 

冷媒ガスを用いた気体圧縮方式にとって代わる次世代の冷凍技術として,伝導電子の熱輸送を利用した冷却:熱電冷却にかかる期待は大きい。現在, Bi2Te3系の材料を使用したペルチエ素子として室温付近における限られた用途で実用化されているが,より低温で実用できれば, 用途が大きく広がると期待される。低温で高い性能を示す材料を得るためには, 極めて小さいバンドギャップをもつ物質において新材料開発を行う必要がある。一方, バンドギャップの大きさがちょうどゼロになった状態が安定に存在するゼロギャップ半導体が,近年ディラック・ワイル半金属の観点から大きく注目され, 世界的に物質探索が進んでいる。この状況は, 特異な電子物性の発現だけでなく, 熱電変換材料の開発にとってもブレイクスルーが起こりうるチャンスと考える。セミナーでは, このような発想に基づき, 我々のグループで開拓してきた熱電変換材料とディラック半金属に関する最近の成果について報告したい。

第32回: 2017年8月23日(水) 16:20-17:50

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟1F TV会議室 &

    飯塚キャンパス (飯塚)TV会議室 (TV会議システムを使って行います)

【タイトル】環境調和型熱電硫化物の構造・電子・フォノン物性

【講演者】末國晃一郎氏 (九州大学大学院総合理工学研究院・准教授)

【概要】

未利用熱エネルギーを電力に変換する「熱電発電」の広範な応用には,環境低負荷で高性能な熱電物質が必要である。その候補物質として人工硫化銅鉱物のテトラヘドライトCu12Sb4S13が注目を集めている。この物質は縮退半導体的な電子状態による比較的大きなゼーベック係数とCu原子の非調和大振幅振動(ラットリング)による低熱伝導率のために高い熱電変換性能を示す。このラットリングは低温における構造相転移の原因と考えられ,固体物性の観点からも興味深い研究対象である。講演では,テトラヘドライトの構造・電子・フォノン物性を紹介すると共に,人工硫化銅鉱物(コルーサイトなど)やチタン-硫黄系物質の熱電研究の動向を概説したい。

第31回: 2017年8月9日(水) 14:40-16:10

【場所】九州工業大学戸畑キャンパス本部棟1F TV会議室 &

    飯塚キャンパス (飯塚)TV会議室 (TV会議システムを使って行います)

【タイトル】介護物理学

【講演者】吉岡由宇氏 (社会福祉法人福智会)

【概要】 

講演者は物性物理の分野で学位を取得し, 大阪大学にてポスドクとしてアカデミックな世界に生きていた。しかし, 縁あって田川郡の特別養護老人ホームという地域も分野も全く異なる世界に勤めることとなった。セミナーの前半はストロンチウム酸化物超伝導体を中心とした物理に関する内容で, 後半は田舎の老人ホームにおける課題と, 講演者が取り組んできた解決方法について紹介する。

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